絵本のお・は・な・し 【おへやのなかのおとのほん】
「おへやのなかのおとのほん」の明快で清潔感のある美しい表紙は、強い印象を与えます。
このお話しの主人公は、子犬のマフィンで、それは次のように始まります。 こいぬのマフィンは、かぜをひきました。きょうは、そとにはでられません。いちにちじゅう おうちのなかで、ちいさなねどこに ねかされることになりました。 そのページには、心配そうにマフィンを見ている飼い主の家族の姿が描かれていて、次のページには、マフィンにはなにができたでしょう。ねどこのうえで からだをまるめ、りょうめをとじて、じっとみみをそばだてていました。こんなぐあい とあり、具合が悪くてまるくなり目を閉じている子犬が描かれています。これは、子ども達みんなが経験したことだと思います。目をつぶっているマフィンには家の中のいろいろな音が聞こえてきます。ほうきで床をはく音、テーブルのスプーンを片付けている音、電話、掃除機、卵をかき混ぜる、お風呂に湯をためる・・・。これを読んでいるといつも聞き流している日常の暮らしの中での音が耳に浮かんできます。その次のページには、 それからマフィンは、はりがいっぽん、ゆかにおちるおとも ききま した。これきこえたと思う?とありますが「それ、きこえたとおもう?」という問いかけに子ども達は何と答えるでしょうか?次々にさまざまな音が出てくるこの絵本は、マフィンを通して楽しい音の世界を表しています。
<ほるぷ出版>